中西 一夫先生
川崎医科大学附属病院
整形外科 副部長（准教授）
川崎医療福祉大学
リハビリテーション学部
理学療法学科 教授
Dr. PROFILE
日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本骨粗鬆症学会認定医
背骨治療の専門医に聞いてみました
手足が痛むしびれる、腰が痛い。原因はさまざまです。自己判断せず専門医に相談を
川崎医科大学附属病院
手足が痛いしびれる、腰が痛い場合、背骨にある神経を傷めていることがあります。しかし、それ以外にも内臓や精神疾患、血管障害などさまざまな原因が考えられるようです。痛みやしびれが出る原因、特に高齢者に多く見られる腰の脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの症状や治療法について、川崎医科大学附属病院 整形外科の中西一夫先生と杉本佳久先生にお話を伺いました。
Q
背骨に疾患があると、どのような症状が出てくるのでしょうか?
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杉本 背骨は、頭の下からお尻までの身体を支えたり、身体を動かしたり、脳からつながる脊髄という神経の束がその中に入り、それを保護する役割もあります。疾患のある場所にもよりますが、背骨の中にある神経が傷むと手足のしびれや首の痛み、腰（腰椎（ようつい））の場合は、脚の痛みやしびれ、腰痛といった症状が出ることがあります。また、その症状は、両手や両足に出たり、片手や片足だったりとさまざまです。
中西 首の骨（頸椎（けいつい））に異常がある場合、手足のしびれや首の痛みだけでなく、後頭部の痛みや肩甲骨周囲の痛みが、実は首の疾患が原因であったというケースもあります。腰の骨に疾患がある場合、いわゆる腰周りの痛みを訴える方が多くいらっしゃいますが、患者さんによく話を聞いてみると、痛みが出ているのは腰だけでなくお尻や背中のあたりも含まれていることもあり、腰痛と一言に言っても痛みが出る場所は人それぞれです。
Q
手足などに痛みやしびれがある場合、どのようなタイミングで整形外科を受診したほうが良いでしょうか?
杉本 首や腰が痛いからといって、すぐ病院に行かれる方は少ないのではないのでしょうか。痛みやしびれの原因にはさまざまな疾患が考えられるので、100％この症状であれば放置しても良いと言い切るのは難しいですが、日常生活に支障がない我慢できるくらいの痛みであれば、少しの間は様子を見るのも良いと思います。
しかし、手や脚に力が入らなくなった、関節が動かなくなった、呼吸や咳やくしゃみでもひびく痛みがあるといった症状があればすぐに病院を受診したほうが良いと思います。また、腰痛の原因は、神経の圧迫だけでなく、細菌による炎症、骨折やがんなど色々な原因が考えられますので、気になる症状があれば自己判断せずに整形外科を受診すべきだと思います。
中西 転倒した、重いものを持ったなど、痛みが出たきっかけがあれば2～3日様子をみても良いかもしれません。しかし、原因がないのに痛みが出た、痛みの場所が移動する、安静にしていても痛みが出るというのは背骨以外の原因が考えられる場合がありますので注意が必要です。痛みやしびれがあっても受診を控える方がいらっしゃいますが、症状が続いているのにずっと放置したり、楽観視したりせずに受診すべきだと思います。
首や腰の痛みに加えて、手足に痛みやしびれがあれば、まずは整形外科を受診していただきたいと思います。整形外科医は全身を総合的に診ているので、背骨だけでなく脳や手足の血管、内臓疾患や精神疾患など考えられる疾患の中から問診や検査などを通して、総合的に痛みやしびれのもとになっているものを探っていきます。
