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背骨治療の専門医に聞いてみました

脊椎疾患による痛みからの解放~腰痛、首の痛み、肩凝り、手足のしびれなど~

湯澤 洋平先生
稲波脊椎・関節病院 副院長
Dr. PROFILE
平成3年京都府立医科大学卒、同年信州大学整形外科入局
平成13年 相澤病院整形外科脊椎外科、平成20年 東京西徳州会病院脊椎センター
平成26年 岩井整形外科内科病院 副院長
日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会指導医、日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医
The International Society for the Study of the Lumbar Spine (ISSLS) active member
医学博士
Q
手術後の様子について教えてください。
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近年、術後のベッド上の安静期間がどんどん短くなっている傾向があります。今から20~30年前は、除圧術を受けた患者さんは、術後約2週間ベッド上安静、固定術をすると4~6週間ベッド上安静でした。現在、ベッド上の安静期間は短くなっており、当院では原則ゼロです。具体的には、手術から戻ってきた時点で、もし起きることができるようであれば起きてもいいという方針です。ただ、スクリューを入れて矯正しているような比較的大きな手術の患者さんの場合は、その日から立って歩くのは現実的には難しいかも知れません。

ベッドサイドに腰かけてみる
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患者さんは高齢者が圧倒的に多いわけですが、高齢者の場合、手術していなくても1週間も寝ていたら足腰はだいぶ弱るでしょう。ベッドサイドに腰かけてみるという行動をする、できれば立ってみるというだけでも、ずっと寝ているより翌日からのリハビリがスムースに進みますし、退院も早くなります。退院日については内視鏡ヘルニア摘出術では術後3日目が一番多いですが、2日目に退院する人もけっこういます。固定術の患者さんでは、術後7~8日で退院する人が多いです。

Q
リハビリについて教えて下さい。
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リハビリは、当院では入院中のみ行います。主に、術後の痛みを抱えた状態でどのようにしてベッドから立ち上がったり、歩行するかといった指導をします。その他、階段を上ってもらったり、畳で暮らしている人向けに、平らなところから立ち上がるコツを指導したりなど、日常生活での動き方も指導します。退院後のご自宅の状況に応じて、それらをクリアできるように特別な注意事項をお伝えすることもあります。
当院では術後に特別な行動の制限をお願いしていません。そもそも、脊椎手術を受けた直後は、患者さんはそれほど積極的には動きたいとは思わないはずです。術後の時間経過と共に、徐々に動く自信が出てきますので、それに沿ってだんだん動いていくというのがちょうどよいと考えています。

Q
退院後の生活について教えて下さい。
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退院後は、1週間目に傷の状態を見せてもらうために外来に来ていただきますが、その後は、術後3か月、6か月、1年、2年の期間で、定期検査を受けていただきます。
スポーツについては、術後3~4週間でジョギング、6週間程度でランニングやゴルフの打ちっ放し、2~3ヶ月でゴルフのラウンドというのが主な流れです。術後ほとんど動いていない状態で、いきなりスポーツをすれば容易に怪我をすることでしょう。ストレッチや基礎的なトレーニングから始め、少しずつスポーツを開始していくことをお勧めします。

Q
最後に、脊椎に関する痛みや悩みを抱えている方へ、先生からひと言お願いします。
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「脊椎手術はできる限り受けない方がいい」、「脊椎手術を受けると車椅子になる」といった脊椎手術に対する間違った考えを持っているがために手術を受けたくないと考えている患者さんがいるとすれば、それは大変に不幸なことだと思います。なぜなら、適切な説明を受けて手術を受けていれば症状が軽くなっていたものを、間違った情報のために長い間疼痛などの症状に苦しまないといけないからです。
脊椎手術は非常に危険なものということはありませんが、合併症などのリスクがないわけではありません。手術を受ける場合には、手術の内容や危険性などについて担当の医師の説明を十分に受けた上で、正しい情報に基づいて手術を受けるかどうか判断して欲しいと思います。そして、手術治療に対して担当の医師が積極的でなかったら、別の医師の診察を受けてみるということも検討してみていただきたいと思います。